デイケアでの脳体力トレーナーCogEvoの活用について
2020年10月に脳体力トレーナーCogEvoを導入してから、評価とリハビリの一体的な活用を行っています。基本的には2種類のタスクで利用者様の傾向を見ていきながら、3か月に1回『5種バランスチェック』で評価しています。現在使われている人数は50名程度（全体の約15%）です。
評価においては、MMSEでは把握しきれない部分を脳体力トレーナーCogEvoで数値化し、その方の傾向を視覚的にフィードバックしています。
リハビリにおいては、利用者ご自身で自由にメニューを決めるような設定にしており、個別のリハビリで脳体力トレーナーCogEvoを実施するときには専任のセラピストがついて２種類のタスクを行っています。
利用者の皆様は脳体力トレーナーCogEvoをゲーム感覚で使われており、結果がわかりやすいと話されています。タブレット自体に慣れていないので最初は難しいと言われますが、スマホを持っている方は慣れると上手く使われています。職員やケアマネさんからは、評価が目に見えてわかりやすいと言われます。結果シートはケアマネさんにFAXしたりご家族にお渡しすることもあります。
生活の影響や認知能力の軽微な変化を捉える
先日、ご利用者様が身近な人と関わりが減った事がきかっけで一時的に認知能力が低下したことがあり、その結果が脳体力トレーナーCogEvoにも反映されていました。利用者様の様子が何かおかしいと思ったときに脳体力トレーナーCogEvoをやってみると、その変化が結果に顕著に表れます。
具体的には、見当識、計画力のタスクが結果に出やすいので、これらの結果が以前より下がっている時は状態がよくないという印象です。また、脳体力トレーナーCogEvoに取り組んでいても、なかなか結果が元に戻らない人は生活に影響が出やすいという予測に使えると思います。
特に、認知能力が落ちている方は計画力のタスクであるルート９９ができないことが多いです。実施する以前に気付いていることが、数値をみて再確認ができるのが良いですね。
脳トレ特化コース「いなみ学習院」の取り組み
2021年9月より新たなコース「いなみ学習院（脳トレ特化コース）」を開設しました。こちらのコースでは、認知面低下の早期発見や、予防・向上を目的に、授業形式で行うレクリエーション（おとなの学校メソッド）、パワーリハビリや卓球などの運動、認知機能トレーニング（脳体力トレーナーCogEvo・コグニサイズ）など、多彩なプログラムで認知面へのアプローチを行います。実施対象者は要支援１～要介護２（要介護１がほとんど）で記憶の低下など、何かしら認知機能に不安を感じている方です。
参加している方への印象としては、表情が明るくなったり、集中力も上がってきたように思います。初めは家族の勧めで来られていた利用者さんも、だんだんと来るのが楽しみになられたり、『みんなで頑張ろう』という仲間意識をもって、クラスメイトのような感覚で様々な脳トレに取り組んでいらっしゃいます。
早期認知症予防の定着に向けた地域づくりについて
利用者様やご家族からケアマネに相談があった段階では、ほとんどの方が生活の中で何かしらの困りごとが出ています。また、皆さん現状を把握することに心理的ハードルを感じられ、そのまま認知症が進行してしまうこともあります。認知症予防のためにもっと前の段階で施設にきてリハをしていただきたいと考えています。
今後の展望として、早期認知症予防の為にアクティブシニアの集いやすい場所の提供など元気な60代向けのサービスや、更なる地域の認知症予防の普及を検討していきたいと考えています。
脳体力トレーナーCogEvoを活用した地域住民向けの認知症講座
地域で認知症予防講座を行なう機会があり、そこでも脳体力トレーナーCogEvoを活用しています。モニター上で脳体力トレーナーCogEvoを実施し、それぞれの認知機能と関係のある生活の中でできる習慣、例えば「記憶力アップのために日記を書く」「注意力を鍛えるために間違い探しをする」など手軽にできることを本やテキストを使って紹介しています。
ゼロ次予防（気づき）の段階で地域の元気な高齢の方々に集まっていただき、予防行動を習慣化していければと考えています。そのためにも、地域包括支援センター等と連携してゼロ次予防の必要性について地域の方へ普及するための様々な取組みを行っています。
