アカデミアインタビュー

阿部 康二 先生

役職

国立精神・神経医療研究センター病院 病院長
岡山大学名誉教授

略歴

【専門】脳神経内科
【学位】 医学博士
【学会活動】
世界脳循環代謝学会(元理事長)
アジア脳血管・認知症学会(元理事長)
日本脳血管・認知症学会(元理事長)
日本脳循環代謝学会(元理事長)
日本神経学会(元会長)
日本脳卒中学会(元国際委員長)
日本抗加齢医学会(元会長)
日本化粧医療学会(元理事長)
日本脳サプリメント学会(現理事長)

インタビュー動画

インタビュー

Q:今までの脳神経内科医としての、お取組みについてお話し願います

阿部先生:私は今65歳になりましたので、医者になってからもう40年です。この間は一貫して神経内科をやってきました。神経内科のメジャーな疾患といいますと認知症と脳卒中、それからパーキンソン病などの、神経変性疾患なのですが、私はその全てやってきましたけれども、最近では超高齢化社会ですので、認知症患者さんが急増しているということですね。
脳卒中も増え、パーキンソンも増えていますが、桁が違って、認知症は数百万人単位、パーキンソンは数十万人単位ですので、やはり日本の社会の健康寿命を延伸という観点から考えても、認知症と言うのは、やはり正面から取り組まなければいけない重要な課題だと思っております。

Q:専門領域と認知機能の関係やその課題についてお話し願います。

阿部先生:認知症といいますと、とかく物忘れだけが強調されがちでありますし、物忘れにどうしても関心が行きやすいのですが、実は物忘れは認知機能の中でも一つの側面でしかなくて知的な低下ですよね。認知症と言うのはそれだけではなく、やはり情動の変化、例えば怒りっぽくなるとか、いろんな妄想をして暴言を吐いたりとかいろいろなことが起きます。これは情動変容というふうに言っておりまして、専門用語ではBPSDですね。行動心理症状と言っています。もう一点はADL、生活がそれでできるのかどうかということですね。例えば田舎で一人暮らししておりますと、多少物忘れがあっても、多少情動が悪くなっても、ADLが保たれていれば認知症とは診断されないわけですので、だから知的に落ちて情動も変化して、そしてそれが結果として生活に支障をきたす。あるいは周囲とのトラブルが発生するという場合に認知症というふうに診断するわけですので、この三つが、通常診療でも常に必要な要素と考えられています。
しかし、実診療の中では、必ずしもその三つを全てチェックしながら進んでいるところばかりではありませんので、知的なスコア取りを中心としながらも、情動の変化、あるいはADLも定期的なチェックをして進まなくてはいけないということになっております。その辺が少しおろそかになっている向きも多少あるかもしれません。認知症専門医としても、今後の課題だというふうには考えております。

Q:CogEvoの良いところや、貢献できることはどのようなところでしょうか?

阿部先生:CogEvoは、まずメイドインジャパンであるということですね。これは非常に大きなメリットです。この超高齢社会の日本で開発された、その超高齢社会における認知症の特に認知機能の知的機能の低下を早期から発見できるということですので。診断ツールだけじゃなくて治療にも応用できますので、それを頻回にやることで治療にも直結する。診断と治療が一度にできる非常に有用性の高いソフトだと思っております。特に短時間で、その被験者の負担も非常に軽くできておりますので、短時間で正確にそして早期から診断できてそれが治療にも直結しているという、非常に大きなメリットじゃないかなと思っており、実際にそのメリットを活かして既に神戸市とか他の地方自治体とも共同研究されておりまして、そのデータも非常に大きな、多くのデータが蓄積されてきていますから、今後ますます普及していくと私も期待しております。

Q:アベ式BPSDスコアとの関係や、さらに期待されている事をお聞かせください

阿部先生:CogEvoは、1回数分ぐらいでできる非常に簡易で、しかし確実なソフトウェアになりますけども、先ほど申しました認知症のあの三つの柱ですね、知的な低下、情動の変容、そしてADLの低下、この3点から言いますと知的の方を主にチェックするソフトでございますので、認知症の三本柱、もう一つの重要な情動の方、これは今トータルブレインケアさんで開発していただいております。私が作ったアベ式BPSDスコアのアプリ化というんでしょうかね。携帯電話のアプリとしてそれを開発して、それをCogEvoと併用することで、短時間で認知症予備軍あるいは認知症の患者さん、なってしまった患者さんを含めた知的情動的、その両名を簡易に、しかも今のAIあるいはデジタル化の技術を使って実現できているということですので、これからはその二つをですね、併用することで、非常にレベルの高い認知症診療が短時間で達成できるという時代になってきているんじゃないかなと思い、私も大変その点は期待しているところでございます。

Q:最後に一言お願いします

阿部先生:トータルレーンケアの開発されたCogEvo、これは多分日本だけじゃなくて将来的に、世界的に認知症患者さんが増えておりますので、世界展開も大変期待しているところです。今や認知症は人類全体の問題になってきていますので、メイドインジャパンの、この非常に優れたソフトウェアを、アベ式BPSDとセットで海外にもぜひ応用していただいて、日本人はもちろんですけれども、海外の方々もですね、急速に高齢化が進んでいる東南アジアの方々も含めて、悩んでいる方々の助けになればいいのではと思っております。