脳体力トレーナーCogEvoについて

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吉田 早織 先生

所属先

常葉大学 健康プロデュース学部スポーツ健康科学科 准教授

略歴

【専門】
アスレティックトレーニング
視覚認知
コオーディネーション
【学位】博士(医学)
【所属学会】
日本アスレティックトレーニング学会
日本体育・スポーツ・健康学会
日本臨床スポーツ医学会
日本神経眼科学会
日本脳神経外傷学会 

インタビュー動画

インタビュー

Q: 自己紹介と、現在のご専門についてお聞かせください

吉田先生:常葉大学健康プロデュース学部スポーツ健康科学科の吉田早織と申します。私の専門領域はアスレティックトレーニングです。
アスレティックトレーニングでは、スポーツ選手やスポーツ愛好家のスポーツ傷害(外傷・障害)(※以降、スポーツ傷害)を予防するとともに、パフォーマンス向上を目指すことを専門とした学問となっています。

Q:現在の研究テーマや、CogEvoを導入した背景について教えてください

吉田先生:私は、スポーツ現場での脳振盪に関する研究を行ってまいりました。その中で、神経心理テストを行うことがありますが、今回使用しているCogEvoのように簡易で短時間でできるソフトというものはなかなかありませんでした。それ以前に、そもそも脳振盪に関するテストを行うとなったときに、選手たちは警戒してしまい、なかなか協力的にやってもらえない、ということもありました。
しかし、脳振盪の状態に限らず、日頃から自身の脳機能特性を知っておくということはとても重要なことだと感じるようになりました。
現在、脳振盪に関わらず、さまざまなスポーツ選手の脳機能特性を調査しています。私たちは日頃、選手のフィジカルの面での測定を行うことは多数あります。そのため、選手たちも自身の身体的機能の特性はよく知っています。例えば、筋力があるとか、持久力が高いとか、瞬発力が高いなどの特性については、把握をしていますが、脳機能に関しては、自身の注意力や記憶力、空間認識力などが高いのか低いのか、そのようなことを考える機会も少ないのが現状です。
しかし、CogEvoを使うことによって、皆がゲーム感覚で取り組みながら自身の脳機能特性を知ることができ、興味を持って取り組んでくれています。現在は、様々な競技特性の差を見るということや、年齢に応じた発達を見ていくということにフォーカスしながら、CogEvoの測定を行っております。
これまで体力測定のデータを活用することはされてきましたが、今後は、パフォーマンスの改善やスポーツ傷害予防に脳機能の測定を行う、それを活用する、ということが日常的に行われるようになってほしいと思っています。そのための基礎研究を行っているという段階です。

Q:CogEvoを活用してみて、どのような反応や効果がありましたか?

吉田先生:近年、スポーツ選手の認知機能が注目をされているのですが、なかなか簡易測定をするという機械がありません。その中で、このCogEvoでは簡易な測定が可能であるということ、また、私は今、小学生など子供に対しても測定を行っていますが、皆ゲーム感覚でとても集中して取り組んでくれるので、データを収集する際に活用させていただいております。短時間で簡易に楽しく測定ができる上に、結果がすぐに見られるということで、みんな楽しみながら測定に参加してくれています。

Q:認知機能をスポーツ現場で活用する意義や、今後の可能性についてどのようにお考えですか?

吉田先生:私たちは日頃、身体機能データを取ることによって選手のコンディションを把握しています。しかし、身体と心理と切り離すことはできませんので、CogEvoのようなツールを用いてコンディションの把握を脳機能の観点からもできると、よりパフォーマンスの向上やスポーツ傷害の予防に役立つと考えています。
近年、スポーツ選手の認知機能が注目を浴びています。トップ選手に限らず、育成年代においても認知機能の差がパフォーマンスのレベルの差につながっているという報告もあります。若いうちから自分の認知機能特性を知ること、また、それを伸ばすこと、活用することは、今後より良い選手になるということにつながると考えています。
また、認知機能特性を知るということはコーチングにも活かせると思っています。コーチがそれぞれの選手を個別に指導する際に異なる声かけをすることで、より必要なパフォーマンスを引き出す、そのための認知機能を高めるということにつながると考えます。そのためにも、より良いパフォーマンスを発揮するためには、どのような脳機能特性があるのか、どのような脳体力の選手が今後伸びていくのか、そういった基礎データを収集することが必要だと考えています。
現在の課題としては、様々な競技特性や年齢による脳機能の推移を知ることができてきたのですが、それをいかにトレーニングするのかということです。CogEvoでトレーニングすることも可能ですが、いかに運動を通して認知機能を高めていくのか、これがスポーツ現場での課題となっていると思います。
また、ぜひ今後CogEvoがアスリート向け、そして子ども向けという観点でより発展してくださることを願っています。

Q:「脳体力」がスポーツに与える影響についてお聞かせください

吉田先生:さまざまなスポーツに関わる中で、「必ずしも身体機能の高い選手がレギュラーとして活躍しているというわけではない」というケースも見てきました。それらの選手の特徴を見てみると、良いタイミングで良い場所にいる、いわゆる「勘がいい」選手たちでした。「勘がいいとは何なのか」を突き詰めていくと、注意力や記憶力が高い選手であるということにたどり着きました。
こういったことから、勘がいい選手に着目するようになりました。そのため、フィジカルデータだけではなく、認知機能測定もできないかと以前からずっと思っておりました。
アスレティックトレーナーとしてスポーツ選手の障害予防にも触れていきたいと思いますが、認知機能が高い選手の方がスポーツ傷害を起こすリスクが低い、もしくは再発予防につながっているという報告もあります。
今まで、体を鍛えることでスポーツ傷害を予防するということが一般的でありましたが、今後は脳機能を高めることでスポーツ傷害を予防していくということも一般化されるのではないかと思います。また、そうなっていくように研究を進めていきたいと思っています。

Q:今後CogEvoやトータルブレインケアに期待することを教えてください

吉田先生:今後、CogEvoやトータルブレインケアに期待することとしては、認知機能測定はまだまだ高齢者向けのものであると思われることがありますが、アスリートや子供にも十分活用できると思っております。今後、UIやUXが進み、それぞれの年齢に応じたツールとなっていくことを願っています。